無自覚って本当に怖い。
わざとじゃないの分かるけど………


それってちょっとマズいだろ。



【チラリズム】



今日は親が仕事で留守なんだと部活の時に聞いた。前にも似た様な事があったなとか考えて、すぐにあの日の事を思い出した。
忌々しいあの思い出。三橋と付き合いだして初めての夜。俺は自らその甘い時間をぶち壊し、そして一人拗ねていたんだ。

あんな想いは二度とするものか!
俺は冗談半分、本気半分で泊まって良いかと聞いて。
返ってきた返事は良いよと言うもので、三橋は本当に嬉しそうに笑顔を見せた。





部活が終わった俺は三橋と共に家へと向かう。当然、田島などに見つからない様、最善の注意を払ってだ。
玄関に入って靴を脱ぐまで、俺は妙な緊張に脂汗が止まらなかった。

リビングに案内されて、ソファーに腰を下ろす。
目の前に佇む大きな液晶に映る下らないニュース。面白いの無いねって三橋は眉を下げた。
俺はお前と二人っきりで居られる。それだけで十分楽しいし、幸せを噛み締めていた。

その後、作ってあった晩飯を食べて適当に片付けて、またテレビを見る。
途中、三橋は席を立ち風呂場へ向かう。遠くからピッ、ピと機械音がしてトコトコと三橋が戻ってきた。

「あっ、阿部く、ん お風呂どう、ぞ」
「えっ…」

一緒に入るか?なんて言えないよな。

「俺が先?」
「うん。パジャマ、は 俺の使って?」
「え、いいのか?」
「うん」

一緒に入れない残念さと、三橋の服を着れる嬉しさ。
サンキュ、とか言った俺の顔は歪んでいたと思う。いや、いろんな意味で。





「お先ぃ〜」

タオルで頭を拭きながら戻ってくると、三橋は俺の分のオレンジジュースを準備して待っていた。

「次入って、くる、ね」

視線だけで見送って、姿が見えなくなるのを確認した。
取り合えず、オレンジジュースを一気飲みしてソファーに腰掛けて。テレビには何やら鬼気迫ったシーンのドラマが流れていた。

「甘ぇ……」

俺はテレビなんか気にも留めず、今自分が身に纏っている三橋のパジャマに夢中だった。
襟首を持って匂いをかげば、抱き締めた時に香るあの三橋の匂いそのものだったから。
側にいる感じがする。俺の懐の中で照れ笑いをする三橋を思い出す。

「―――ッ!」

ヤベッ………落ち着け俺!盛ってどうすんだよ!匂い嗅いで興奮するなんて変態のすることだろ!!
とと、とにかく!三橋はまだ出て来そうに無い。それまでに静まれ!俺の息子ッッ!





「ふぅ〜、気持ち 良かった 」

―――――――!!

落ち着こうと意識を拡散している最中だった。
不意に声がして俺はぎこちなく振り返った。が、俺のあの妄想すら吹っ飛ぶ三橋の格好に、言葉の発し方を忘れたかの様に俺はパクパクと口だけを動かし身動きをとれずにいた。

「みみみ、三橋!?何だその格好!」
「えと……お父さんのを、借り、て」
「いや、お父さんは下履かねーの?!」
「履く、よ。でもブカブカで……」

ブカブカって……。
今、三橋は俺の目の前で上着だけを着た状態で佇んでいる。

つ・ま・り・だ。

お父さん用だからか、少し大きめのパジャマの上着からスラリと細い生足を剥き出している、男にとってはロマンと言って良い格好で俺と向き合っているのだ。

「もう我慢できねえ……」
「うえっ……阿部ッ、くん?!」

ドサリ、ソファーになだれ込む二つの体。下でもがく三橋は恥ずかしさに耳まで赤く染めて。

「ひぁっ……くすぐったい、よ」

非力ながらも突っぱねる三橋に対し、赤子とじゃれる程度にしか感じていない阿部。
深い笑みを纏いながら、その白く透通る肌を堪能し始めた。

「良い匂いだな」
「だめッ……!」

パジャマの匂いなんかより、断然こっちの方がそそられる。
俺はあの日の雪辱を晴らすが如く、可愛い可愛い三橋を隅々まで堪能することに決めた。





END

キモベ好きだったり(笑)