今まで野球の事しか頭に無かったから、勉強なんて高校入学の為にやった一度きり。
きっと俺は馬鹿なんだと思う。
だから、質問させて?
【クエスチョン】
柔軟が終わって次は各自ペアを組んで練習を始める。
阿部がベンチ席に向かう。すると三橋もそれに従い歩いて行く。
あれ?阿部はモモカンと作戦会議するって言ってたぞ?んで、阿部が投球練習任せたって。しかもそれ、三橋と一緒に聞いてたのに。
「三橋ぃー!こっちこっちー」
両手振ってアピールしたら、三橋は思い出したのか慌てて自分に駆けて来た。
「ごっごめん、ね」
「さっき聞いたのに忘れるなんて三橋らしーな」
この時は本当にそう思っていた。だから蟠りもなく素直に野球を楽しんだんだ。
「みんな集まってー!」
体も程よく暖まってきた時、モモカンの軽快な声に駆け足で集合した。
三橋を引き連れ一番乗りで待つ。何処からか阿部も駆け付け円陣へと。
その時、俺のとなりにいた筈の三橋がまたフラフラと阿部の横へ。
あれ?何で場所移動してまでアイツの横に行くわけ?そんな疑問が俺の頭を過ぎった。ついでにさっきは深く考えなかったあの事も同時に脳の片隅より湧いて出た。
「うひゃあっ…ッ?!」
何かモヤモヤして嫌だったから、思いっきり抱き付いてやった。三橋から変な声が漏れたけど気にしなーい。
あの後、モモカンの話が終わるまで三橋の肩にぶら下がっていた。
途中阿部に三橋の肩に負担かけるなとか、泉に暑苦しいとか、花井に静かにしろとかいっぱいいっぱい言われたけど、そんなのに従う気なんて俺には無い。モモカンの話は聞いてんだから放っておいてくれ。
「よっしゃー!じゃあ三橋、今度はカーブ投げてよ」
自主練習に戻るやいなや、また三橋はフラフラと阿部の側へ。
っ、だ、か、ら、!阿部はモモカンと作戦会議なんだって!!何で直ぐそっち行っちゃうんだよ。何だよ。
よくよく考えたら、こんな事今に始まった事じゃないんだ。最初から。俺達が出合って、その時からずっと二人は二人で寄り添っていた。
三橋が俺達の横に居れば阿部が来て、阿部が違う所に居れば三橋が寄って。
純粋な疑問。
Q.何故、阿部と三橋はくっ付きたがるの?
A.・・・・・?
腕を組み、滅多に使わない頭をフル回転させ考えた。でも、答えなんて見つかんない。Q&A…いや、Q&Qが浮んでは沈み、浮んでは沈みと堂々巡り。
「ごめん。やっぱ判んないや」
阿部の側でモジモジモジモジしていた三橋を引き摺り戻しながら、俺は諦めて本人に聞こうと足を止めた。
「なー、三橋って阿部が好きなの?」
「うおっ?!な、何で」
「だってさー、俺の事嫌なんだろ?だったら阿部が好きとしか思えないじゃん」
「え、ぁ…の…?」
三橋は頭の上に?マークをいっぱい浮かべて困惑している。その戸惑い様に田島は大きな溜息一つ。
「馬鹿だなー。自分の事なのに気付かないなんてー」
「お、俺……阿部 くん が、好きなの?」
「そうだよ。だって、三橋ってば阿部の横に直ぐ行くしさー俺と投球練習するって言っても聞かないだろ?」
「ごめ、ん……」
謝る理由がいまいち理解しかねるけど、田島を困らせた事に取り合えず謝った。と、その時に浮上したある疑問。
「で でも、ね。俺、阿部君と同じ、くらい に、田島君が好き だよ?」
勿論、花井君や栄口君も泉君だって、みんなみんな同じ位好きなんだよ。なんて、三橋は顔を真っ赤にしながら必死に言ってきた。
「じゃあ、何で阿部の側に行くの?」
「う……」
「俺だってキャッチャーだろ?何で阿部なの?」
「うぅぅ………」
あーあ、困らせたいわけじゃないのに。
言われた本人は上を向いたり下を向いたり忙しそう。
「もしかして、俺に妬いて欲しいの?」
「え、?」
「アイツの所ばっか行って、俺がヤキモチ妬くの待ってるとか!」
「やき、もち?」
「そうだよ!だって三橋は俺が好きなんだろ?」
「うん、好き だよ」
「じゃ、これが答えだ!」
ポンッ!と掌を合わせニンマリと笑顔を見せる。俺が笑えば三橋も笑う。この笑顔を見れるのは俺だけだって知ってる。
そんで、俺は三橋が好きで三橋は俺が好きだったんだって。だからこんなにも気になったんだって。
問題が解ければスッキリする。
単純だとかじゃなくて、逆に頭良いから解決しないと納得いかない。
勉強は相変わらず出来ないけど、三橋限定で考えれば、俺って一番の優等生だと思うんだよね。
ねぇ三橋、これからも判らない事があったら質問するよ。納得いくまで何度でも聞くからさ。
だから、その間だけでも良いから近くにいてよ。
(視線を投げて。俺はそれを逃さず捕るよ。バッテリーだもん。夫婦だろ?安心していいからな!)
END
ザ☆田島ワールド!無理矢理にでも自分ペースにもってくのが田島の真骨頂だと思う……なんてね。