必死って面白い。
一生懸命も癖になる。

伝わらなくても伝えるんだって、俺はイノシシみたいに突撃した。



【ガムシャラ】



出会ってから恋に落ちるまでは電光石火。簡単に言えば一目惚れ。
思い立ったが吉日、俺はその思い人の手を取りトイレに駆け込んでいた。

「三橋好きだ!」
「ぅおっ?!」
「付き合って!」
「な……っ」
「んで、キスしよう!」

言うが早いや、俺はその柔らかな唇に噛み付く様にしてキスをしていた。

「柔らかい!」

想像以上のプニプニ感に、さっきまで呑んでいたのだろう甘いジュースの味。
俺は此処がトイレで、今は休憩中で誰が入ってきてもおかしくない状況を考えずに、何度も何度もその感触を味わった。

「田島、くんッ」
「わわっ、ごめん嫌だった?」
「あ、え、と……その」

モジモジと下を向く姿が可愛い。言葉を探してパクパク動く口が美味しそう。

「俺は嫌じゃないぞ!」
「え」
「だから三橋も嫌じゃなかったろ?」

返事なんて待ってられなくて、俺は捲くし立てるように言葉を浴びせた。
でも、これは三橋の言葉を代わりに伝えただけだ。だって、嫌がるはずが無い。俺が良いんだったら三橋も良いに決まってる。

「今日さ、帰りにデートしような!」
「でッ……?!」
「だって俺達コイビトだろ?」
「こッ……?!」
「違うの?」
「えっ、だって……」

明らかに戸惑ってる三橋の姿に、もう一押しと頭の中の俺が言った。

「さっきキスしたろ?」
「うん…」
「キスしたらコイビトになるんだよ?」
「そうなの?」
「当たり前だろ?コイビトじゃないのに三橋はキスできるの?」
「でき…ない」
「だろ?」

よし!認めた。
三橋は可愛いからきっとこの先狙ってくる奴がいっぱい出てくる。そんなのに混じってドキドキするのは絶対に嫌だ。しかも誰かに先を越されたら、俺、確実にそいつの事バットで殴ってたと思う。で、結局俺のモノにして……って、そんな回りくどい事面倒だから先手打って大正解。



こうなれば完全に三橋は俺のモノ。



「じゃ、部活終ったら一緒に帰ろうな!」
「う…ん」
「明日もデートな!」
「……ずっと?」
「そうだよ。毎日デートしよう」
「コイビトだから?」
「当たり前だろ?あ、じゃ証拠にもう一回!」

ガシリと三橋の細腕を掴んで引き寄せて、あーんと大きな口を開けてガブリ唇に噛み付いた。勿論、三橋は痛がって逃げるけど、そこをまた捕まえて舐める様にキスをした。
隙を見て目を開ければトロンと蕩けた目をした三橋がこっちを見てて、それだけで襲いそうになったけど丁度授業開始のチャイムが鳴って止む無く断念。

まあ、楽しみは後にとって置くってのもいいだろ?

「じゃ、帰りになー!」
「うん」

なんか言い包められた感たっぷりな顔だけど、気にしない。
些細な事に気を回してたら身が持たないよ。

好きだ好きだと、大好きなんだと伝えてないと不安で夜も眠れない。
信じるにも限界があるって知っている。だから一生懸命になれるんだ。


先手必勝、突き進め。



恋なんてそんなもんだろ?





END